巣立ちはいつ起きるのでしょう?

ツバメ日記の記録からは、春から夏にかけて巣立ち数のピークが2回起きることが見て取れます。すべてのツバメ夫婦というわけではありませんが、2回ヒナを育てるツバメは多くいて、そのため2回のピークが起きていると考えられます。







月の上下下旬の巣立ち数(縦軸は巣立ちのあった巣数)

次に、年による巣立ち時期の違いを見てみましょう。ヒナを育てる時期はその年の気候によって左右されるのか、それとも暑さ寒さとはあまり関わりがないのでしょうか?


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上のグラフは「時期による巣立ちのあった巣の数」を表しています。例年は5月下旬か6月上旬に巣立ちが多くなるのですが、2010年は6月になってもなかなか巣立ちが多くならず、6月中旬になってようやく巣立ちが多くなりました。巣立ちのピークは例年通り2回起こっています。

2010年は春に寒い日が続いたので、虫の発生が少なく、子育ての開始も遅れたのかもしれません。しかし、気温の低さがそのまま子育ての遅さにつながっているかというと、そう単純でもないようです。

3,4,5月の平均気温(気象庁のアメダスHP から取得)を見てみると、3月と5月は例年と大差ないのですが、2010年の4月はとても寒かったことが分かります。とはいえ、2006年の4月もけっこう寒かったのに巣立ち時期は遅くなっていないので、ツバメがどういう都合で子育て時期を決めているのかは、まだよくわかりません。2010年の4月は寒の戻りが何度かあって、そのとき巣に来ていたツバメがいなくなってしまったという話も聞くので、猛烈に寒い日がときどきあったことが、よくなかったのかもしれませんね。

ヒナを育てるのに最適なのはいつ?

ツバメを観察していると、7−8月には死亡してしまうヒナが増えることに気づかれた方も多いのではないでしょうか。月別の巣立ち数を調べてみると、その傾向がハッキリと表れていて、月が進むほど巣立ち数が減っていくことが分かりました。バードリサーチが行った飛翔性昆虫調査によると、飛翔性昆虫は5−6月に増加し、7−8月に減少するという結果が出ていますので、7−8月にはエサ不足のために死亡するヒナが増えているのではないかと考えられます。